行き交う道に トウゲブキ

(2022/7/30 鳥海山)
(2020/7/23 秋田駒ケ岳)

峠蕗(とうげぶき)

キク科メタカラコウ属/多年草

山地〜亜高山~高山帯の日当たりの良い"峠"のような場所に生え、その葉が茎の周りぐるりと取り囲んだ(=根生葉)、空を仰ぐような大きく丸皿型で、縁がギザギザの鋸状になっているその形が"蕗(ふき)"の葉に似ているところから、合わせて『峠蕗(とうげぶき)』。

別名はエゾタカラコウ(蝦夷宝香)、オニタカラコウ(鬼宝香)。

オタカラコウ(雄宝香)・メタカラコウ(雌宝香)という草本の仲間で、その大型の北方種・低山〜亜高山型であるところからからつけられた別名だが、オ&メタカラコウの北限は東北中央部あたりまでで、それより北では”タカラコウ”という名前共々あまり知られていない。

やはり、東北・北海道と言えば田んぼの畦道からそこら辺の山地等、あちこちで大きな丸い葉をつけた蕗(ふき)(アキタブキ等)が生えていて、日常の食材としての馴染みもある、その葉に似ているところから、『峠蕗(とうげぶき)』の名前が優勢・一般的で、そのまま正式な和名となったのではないかと思われる。

(2022/7/30 鳥海山)


高山植物と言っても、日陰・谷地を好むもの、湿地を好むもの、岩場を好むものと、色々あるが、トウゲブキはその名の通り、陽当たりが良い草地の尾根沿い・斜面など、峠に好んで咲いている。
山で暮らす杣人やマタギや修験者等の人々が、峠を行き交う際によく見かけるこの花に、シンプルで相応しい名前をつけたのではないかと思う。


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