白か黒か コンロンソウ

(2023/5/13 青森県大鰐町)

崑崙草(こんろんそう)

アブラナ科タネツケバナ属/多年草

『崑崙草(こんろんそう)』…って書けますか?レベルの一目して意味不明の和名。
お馴染みの植物学者・牧野富太郎博士も、その著書『牧野日本植物圖鑑』の中で"和名崑崙草ハ何故斯ク名ケシ乎不明ナリ"と述べている。

そもそも"崑崙(こんろん)"とは、中国の伝説で西方にある山岳地帯(実在するヒマラヤ山脈?)のことを意味し、そこから、山の万年雪のように白い花であることが由来とする説がある。
他に、"崑崙奴(こんろんど)"はアフリカ系黒人のことを意味するところから、花後の熟した果実が黒っぽくなるのに喩えたとする説もある。
で、結局のところ決定打がなく名前の由来は謎のままだが、凝ったネーミングであることには違いない。

思うに、これもまたセントウソウ等のような、江戸時代頃からお坊さんやお侍や茶人といった知識階級や、草子や読み物等で知恵をつけた植木屋なんかが名付けた名前がいつの間にか一般的にも定着した系ではなかろうか、と思うのだけどどうだろう。
お寺や武家屋敷、豪商の邸宅の庭園、或いは茶室・床の間の生花などにピッタリの、姿形の整った渋い花だと思う。

花期は4〜7月、日本全国に分布し、山地や森林内の湿った場所や渓流沿いを好んで生える。
花は純白で、花房の形は仲間のアブラナ等と似ていて、一つ一つの花は4枚花弁でタネツケバナやアブラナと一緒の形。背丈は50cm前後になる。果実だけでなく一部の葉も黒っぽく染まる。

花言葉:完璧な美/優美/洗練

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