たまげた タマブキ
(2022/9/11 青森市・東岳)
珠蕗(たまぶき)
キク科コウモリソウ属/多年草
葉柄の根本(基部)に、ムカゴ(わき芽が栄養分を蓄え肥大化したもので、漢字で”零余子”や”珠芽”と書く)と呼ばれる丸い珠粒がつき、葉が蕗(ふき)の仲間の葉っぱのように丸く上向きに開くところから、合わせて『珠蕗(たまぶき)』。
フキ属ではなくコウモリソウ属に属し、葉の形から蕗の名がつけられた、名付け学(仮)的には、トウゲブキ(峠蕗)等の”なんちゃって蕗グループ”の一つ。
花期は8~10月。北海道~関東に分布している。
山地・里山の沢沿いなど、湿り気のある林の林床・林縁に自生し、群生していることが多い。
亜高山帯の林床等で見られる高山植物のカニコウモリ等の仲間で、直立した茎の上部に、筒型の黄色い小花達がずらっと並んでついて咲く様や、開いた手のひらより一回り程大きな上向きの葉の形も含めた草本全体の姿形は、白い筒型の花をつけるカニコウモリと似ている。
ただ、名付けられ方は全く共通点がなく別系統。
葉の特徴的な形から名付けられるコウモリソウ属の仲間(コウモリソウは葉の形が蝙蝠に、カニコウモリは葉がタラバガニの甲羅に、それぞれ似ているところから命名された)よりも、より人里に近い低山・里山に生息しているので、人々の暮らしの場に馴染み深い”蕗(ふき)”から取られた、平易な名前がつけられたのだろう。
近代に入って生物分類学上に沿って名前がつけられたものではなく、近世の江戸時代以前から人々の間で自然発生的に呼ばれてきた名前と思われる。
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