粘りの謎解き ネバリノギラン

(2021/7/4 南八甲田連峰)
緑褐色の果実
(2022/7/18 青森市・田代平湿原)

粘芒蘭(ねばりのぎらん)

ラン科ソクシンラン属/多年草

茎から黄褐色の花穂のあたりにかけて触るとネバネバと粘り、姿がノギラン(芒蘭)という花に似ているので、併せて『粘芒蘭(ねばりのぎらん)』。

日本固有種で山地から高山の湿った土地に生える。初夏に地味〜な花を咲かせ、夏には花と見分けのつきにくい地味〜な果実がなる。

ネバリノギランの特徴である、ネバネバの謎を調べてみると、実に興味深いことがわかった。
それは、花蜜を吸いに集まってくる昆虫のうち、繁殖の為の花粉の拡散に役立たない、地上を歩く蟻などから花を守りるためだということ。
茎葉を歩いて伝ってくる蟻んこの足を、このネバネバで絡めとって、花の蜜のあるところまで登って来られないようにする。そして、花粉をちゃんと運んでいってれる蝶や蜂などに、優先的に花蜜を吸いに飛んで来てもらうのだという。
因みにこのネバネバの粘液は、糖とタンパク質とで出来ており、乾燥しにくくなっている。
この粘液を腺毛から分泌させて、花の周りをネバネバで覆ってガードしている。

人にとっては花なんだか実なんだかよく分からない、一見、地味〜な姿と色の花だが、花粉を運んでくれない人間などは、鼻っから用がない。
ただ人は、自然の仕組み・仕掛けの不思議に触れ、なんでだろうと思い、調べて学んで感嘆するばかり。

粘りの謎について、詳しくは日本植物生理学会のサイトのこちらのページを参照↓

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