ぺぺん、ぺん ナズナ
(2022/5/4,14 青森市)
薺(なずな)
アブラナ科ナズナ属/越年草
『薺(なずな)』の歴史的仮名遣いは”なづな・ナヅナ”。その名前の由来には諸説ある。
早春に開花し、夏になると枯れることから「夏無(なつな)し」又は「夏無き菜(なつなきな)」説。
”撫でいつくしむ草”を意味する「撫で菜(なでな)」説。
苗が地について縮まっているところから「滞む菜(なずむな)」説。
その他、朝鮮語由来説、等がある。
「薺」一字で訓読みの、日本古来の名前。恐らく”麦”と同じ頃(縄文末期?)に入ってきたと思われる史前帰化植物。漢字の「薺」は元気よく繁茂する様子「済済」(用例:多士済々)を表したものだという。
別名を「ぺんぺん草」或いは「三味線草(しゃみせんぐさ)」。
これは、真っ直ぐ上に伸びる茎に、斜めに何本もつく枝の先の逆三角形ハート型の種の形を、三味線の撥(ばち)の形に見立てたもの。
春先に黄色く鮮やかなタンポポやナノハナ等と一緒に咲く白く小さな花も可愛げだが、この種の形がさらに特徴的で、面白みがある。
他にも「貧乏草(びんぼうぐさ)」の別名があるが、”ぺんぺん草しか生えない”ような荒れ地にも逞しく生えてくるところから派生した呼び名だろう。
春の七草の一つとしても有名で、食べられる植物。
「拾遺和歌集」から
雪をうすみ垣ねに積めるからなづな
なづさはまくのほしき君かな
- 藤原長能(ふじわらのながと)
意訳:積もっていた雪が薄くなったので、垣根に摘んだ薺の花のその名のように、貴女となずさわりたい(親しく馴染みたい)。
花言葉:私のすべてを捧げます
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