君の名は。 シオン

(2020/10/2 青森市内)

紫菀・紫苑(しおん)

キク科シオン属/多年草


”紫色“の、花が生い茂っている様を意味する“菀(苑)”、合わせて『紫菀(しおん)』。
シオンという読みは中国語読みから。
音の響きが良いので、近年は子どもの名付けに使われているのをよく見かける。人の名付けに使われる花、2020年人気ナンバー1ではないだろうか。
”屁糞葛(へくそかずら)”や”野襤褸菊(のぼろぎく)”…ないない、あり得ない。


元々は中国大陸や朝鮮半島の原産で、日本では中国地方以西が自然の繁殖地だが、園芸用として家々で植えられていたものが野生化して、北国の町の川土手でも秋になるとピンと丈を伸ばして紫色の花を咲かせているのを見かける。


別名を”オニノシコグサ(鬼の醜草)”。
花言葉:追憶/君を忘れない/遠方にある人を思う
平安時代に書かれた『今昔物語集』が由来。
父を亡くした兄弟、兄は父を忘れる為に忘れ草(わすれぐさ)=萱草(かんぞう)を父の墓前に植えて墓参りをしなくなった。弟は父を忘れないように忘れぬ草のシオン(紫苑)を植えた。それを見た墓守の鬼の神通力で弟は予知夢を見ることが出来るようになった。という説話から。
忘れ草=”萱草(かんぞう)”については下の項を参照。

その他、源氏物語の中にも紫苑の記述がいくつか見られる。例えば…

紫苑ことごとに匂ふ空も、香のかをりも、触ればひたまへる御けはひにやと、いと思ひやりめでたく、心懸想せられて…(第28帖 野分 第1章第6段より)


他に、”ジュウゴヤソウ(十五夜草)”…花咲く季節から、”オモイグサ(思い草)”…忘れぬ草と同意、等の別名がある。

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