山の息吹 ヤマブキ
(2022/5/5,7 青森市浅虫)
山吹(やまぶき)
バラ科ヤマブキ属/落葉低木
『山吹(やまぶき)』の名前の由来は幾つかある。
少し大きめな花を幾つも咲かせ、細長く弓形(ゆみなり)にしなった枝が、風が吹くたびに振られて揺られている様子から、「山振(やまぶり)」と呼ばれていたことから。これが最有力。
又は、山の春を鮮やかで暖かい黄色い花で彩る様子から、「山春黄(やまはるき)」と呼ばれていたことから。これもありか。
或いは、春に里で咲く"蕗(ふき)"の花に似た黄色い花を咲かせるところから、「山蕗(やまぶき)」と呼ばれていたことから。これはちょっと…蕗の花は淡いクリーム色だし。
「万葉集」から
山吹の茂み飛び潜(く)く鴬の
声を聞くらむ君は羨(とも)しも
ー 大伴家持(おおとものやかもち)
山にヤマブキが咲く頃(4〜5月)は、ちょうど鶯がホーホケキョ♪ケキョケキョ♪と鳴く季節。
「後拾遺和歌集」から
七重八重花は咲けども山吹の
実のひとつだになきぞ悲しき
ー 兼明親王(かねあきらしんのう)
(2020/5/16 青森市浅虫)
ある雨の日、客人に蓑を貸して欲しいと頼まれたのに対して、代わりにヤマブキの枝を持たせた。
後日、その意を問われて答えた歌。
ヤマブキには時々、八重咲きのものもあるが、八重咲きは果実をつけないところから、"実のひとつだになき"=(雨の日でも人に貸す)蓑ひとつとてない、ということを意味する。
後の室町時代後期の関東の武将・太田道灌の山吹伝説でも有名な歌。
花言葉:崇高/気品/金運
ヤマブキの山吹色に彩られる群落は、確かに大判小判の黄金色の山のよう。
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