天狗の住処に ナガハシスミレ

(2021/5/9 下北半島・縫道石山)
(2021/5/4 青森市・東岳縫)

長嘴菫(ながはしすみれ)

スミレ科スミレ属/多年草


花の後ろに細長くすらっと延び、先端が少し上向きになっている拒を”長い嘴(くちばし)”に例えて『長嘴菫(ながはしすみれ)』。

同じくその長い拒を“天狗”の鼻に例えた「天狗菫(てんぐすみれ)」という別名もある。


この細長い拒の奥には花の蜜が蓄えられており、ここに嘴を差し込んで密を吸い出せる者というのは限られている。ビロウドツリアブという嘴の細長い羽虫がこの花の蜜を吸うと同時に花粉を運ぶ役割を担う、花と虫との相互協力・依存関係が成り立っている。

春の近場の低山登り、平地から登山道入り口付近のここら辺の山里ではオオタチツボスミレ(大立坪菫)が咲いているが、登山道を登って行き標高が高くなり木陰が多く少し湿った感じになっていくに連れて、やや小ぶりで花色と同じ紫色の長い拒のナガハシスミレ(長嘴菫)に変わっていく。


それぞれの菫には住みやすい環境(温度・湿度・日照・土壌等)があって棲み分けをしている。天狗の住処は山の森の中と相場が決まっているようだ。

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