伝説から セイヨウノコギリソウ

(2020/7/28,8/25 青森市)

西洋鋸草(せいようのこぎりそう)

キク科ノコギリソウ属/多年草

ヨーロッパ大陸原産の外来種。葉っぱのギザギザがノコギリのような日本在来種のノコギリソウ(鋸草)の名を合わせて『西洋鋸草(セイヨウノコギリソウ)』。

日本には1887年(明治20年)に渡ってきたとの記録があるが、人類とセイヨウノコギリソウとの付き合いの歴史の記録は、この間、掲載してきた草花の中でダントツの長さを持ち、なんと化石人類ネアンデルタール人にまで遡るというが…
ネアンデルタール人が墓地として使っていたらしきシャニダール洞窟(イラク)の中から、このセイヨウノコギリソウの花粉が大量に見つかっていると言うから、まあ、びっくりポン! お供えの花束として使っていたのだろうか?
…とも考えられていたが、実は最新の研究では洞窟に住むネズミの仕業ではないかとも。真実は如何に?

それでもセイヨウノコギリソウは古くから傷薬として利用され、ギリシャ神話に登場する英雄アキレスがトロイの戦いで負傷した兵士たちの手当てに使ったと伝えられていて、属名『アキレア』はこのアキレスの神話から取ったもの。
同じく古代ギリシャの医学者ペダニウス・ディオスコリデスは著書『薬物誌』の中で、セイヨウノコギリソウの薬効について記している。
イギリスでは5世紀頃から薬草として栽培されていたり、アイルランドではお天気占いにも使われたり、中世では魔除として結婚式の花束にも盛り込まれるようになったり、恋占いに使われたり。…と、まあ色々
『ヤロウ』という名のハーブとして食用でも用いられる。若葉は刻んでサラダで、又は湯がいてからバター炒めで食べられる。他にタバコやビールの香り付けとしても使われたり、ハーブティーとしても飲まれている。

花言葉:戦い/勇敢/治癒
ギリシャ伝説の勇者アキレスに因んだものだろう。

花の名付け学(仮)としては、和名のつけ方が事務的で上記に挙げたような長〜い歴史認識が足りない気がするな…

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