浜の番長 エゾオグルマ
(2021/7/24 青森県・夏泊半島)
蝦夷小車(えぞおぐるま)
キク科キオン属/多年草
河川敷や田んぼの畦など水気の多い場所に咲く"オグルマ(小車…花びらが放射線状に並んで咲く様を「小さな車」に見立てた名前)"という黄色い野菊に似て、夏に北海道~北東北の海岸の砂浜等に自生しているので“蝦夷”の字を頭につけて『蝦夷小車(えぞおぐるま)』。
別名、海浜に生えるので“浜小車(はまおぐるま)”。
"蝦夷緒車"・"浜緒車"という漢字表記もあるが、それでは元の"オグルマ(小車)"の名前の由来の説明にならないので後につけられた当て字か?
全体的に頑丈そうな草本で、茎は太く逞しく、葉っぱはとても肉厚で指で触るとブニュブニュと弾力性がある。これは恐らく、ザブンと海水を被っても、波の力や浸透圧に負けて茎や葉の中の水分・養分が溶け出したりしないようになっているのだろう。風雪に晒される高山植物とは又違った、海辺の植物らしい独特の逞しさがある。
ちなみに北海道アイヌはエゾオグルマを傷薬として用いたという。
アイヌ語で草花の名前を調べてみると、草本そのもの名前というよりも、食用・薬用等に用いる部位に名前をつけているらしい。エゾオグルマは傷薬として用いる茎葉を“プラキナ pura-kina”とか“ポリヤキナ poriya-kina”と呼ぶ(地域・部族によって呼び名が違う)。
彼らの自然観・植物観の一端が伺える。
2020 アイヌと植物-北海道大学
1.アイヌの植物観 を参照
0コメント