風でくるくる チングルマ
(2021/7/4 南八甲田連峰)
(2020/6/20 森吉山)
稚児車/珍車(ちんぐるま)
バラ科ダイコンソウ属/落葉小低木
「チングルマ」という音だけ聞いたら「チン?珍?クルマ?車?」と、なんのことだかよく分からない。
一般的には、白い花を咲かせた後に花びらが散ると少し赤みを帯びた糸状に伸びた花柱(果実)を残して吹く風にそよいでいる、その姿を稚児=幼い子どものオモチャの風車=稚児車(ちごぐるま)に見立て、音が変じて『稚児車(ちんぐるま)』となった、ということになっている。
しかし、実のところ風車は風車であって稚児車とは呼ばない。そこでもう一つ有力な説がある。
チングルマと実をつけた姿がよく似ている"オキナグサ(翁草)"という植物があり、越中立山地方ではオキナグサを"チグルマイ"と呼ぶが、これは髪を結う前のざんばら髪の子ども=稚児がくるくると舞い踊ると髪の毛が渦を巻くようにして揺れる、その様子に見立てた「稚児の舞(ちごのまい)」が転訛したもの。
それがさらに転じて"チングルマ"になり、この高山植物の名前として定着していったという。
オキナグサはどこに行ったんだ?という疑問は残るが、翁に対して稚児と対照的なのでオキナグサを示す名前としては越中以外には残らず忘れ去られて行ってしまったのかも知れない。
"答えは風に吹かれている" by Bob Dylan
…なんてな
高山の湿原・湿地帯で地べたを這うように枝葉を広げていく低木で、雪が解けた頃になると湿原や登山道脇などあちらこちらで大小の真っ白い“お花畑”(高山で花が一面に咲く地帯を、実際にそのように呼ぶ)を作り、花弁が萎れてしまうと今度は綿毛靡かせる風車の姿に変わり、そのまま秋の深まりに従い真っ赤に紅葉する。
春から秋にかけて山を訪れる人々の目を楽しませてくれる、豪雪地帯である東日本・北日本を代表する高山植物の一つだろう。
花言葉:可憐
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